みなさんは、明治時代のファッションやライフスタイルに興味はありませんか?今回の記事では、明治時代の東京の生活全般を取り扱った『東京風俗志』をご紹介させていただきたいと思います。
【目次】
この本は、明治32年から明治34年に出版された『東京風俗志』上、中、下巻をまとめたものです。題名も「風俗史」ではなく、「風俗誌」ということで、歴史やアカデミックな内容ではなく、その当時の現状を報告しているものになります。挿絵も付いているので、その当時がどんな様子であったのか、とてもイメージしやすい内容になっているのです!!
豊富な内容・平易な文体
この本では、明治時代のファッションから、遊郭、宗教やお祭りまで、あらゆる生活に関する内容を網羅しています。年中行事や料理店など、興味深い内容も多く、中には、「江戸っ子気質」なる記事もあり、楽しく読める内容となっています。
使っている内容も、若干かたい感じがしますが、難しい言葉も使われていないですし、旧漢字旧仮名遣いから、新漢字新仮名遣いに変換されているので、読みやすくなっています。
内容も興味深く、親しみの持てる内容になっているので、
ここからは、わたしがオススメの記事を紹介いたします。
ファッション・ヘアスタイル
どの時代にも、そのときそのときに合わせたファッションの流行があります。とくに明治期ですから、いわゆるチョンマゲ頭から、自由に髪型をえらぶ人々が増えた時代です。そうしたヘアスタイルやファッションは文章ではわかりにくいですが、この本では、挿絵に解説をつけているので、とてもイメージしやすいです。なによりも、流行を追いかける人々は、昔からいるのだなぁと感慨深くなりますよね。
男性の髪型
男性の髪型で、大きなイノベーションが起きた時代でもあったようです。それは、「バリカン」の到来から起こったのです。この本の説明によりますと、明治18年(1885年)ころ、バリカンが外国から輸入され、日清戦争を経て、定着していったようです。
前を伸ばして、後頭部を短くする「チャン刈」などが、流行していたそうです。この時期では、稀に、労働者の中に髷を結う人がいる程度で、男性の髪型が劇的に変わっていった時代なのでしょう。
女性の髪型
女性の髪型の種類は、とても多く、女性のファッションへの関心の高さが伺えます。この時代では、中央の髪を高く結った「英吉利巻き」が流行っていたそうです。
明治の初め、横浜に、我国はじめての理髪店が建てられ、日本に広まっていきました。
娯楽について
相撲
稀勢の里により、日本出身横綱が誕生し、奇跡の逆転優勝も記憶に新しいですね。この本では、相撲についても記事になっています。絵を見ますと、少し、細い感じがしますね。
当時、相撲は大変人気があり、その人気は「演劇に匹敵すべし」と説明されています。演劇と相撲を比較している点も、興味深いです。そして、「相撲は、演劇の如く、年が年中諸所にうちつづけ興行するものにあらざれば、一興行あるごとに甚だしき賑わいを占むべし」と続けています。相撲の興行は、例年1月と5月に、両国にて行われていたのでした。
寄席ー落語、浄瑠璃、講談ー
昨今、流行の兆しを見せている落語についての記事も掲載されています。寄席の構造や、講談や浄瑠璃についての説明、寄席の雰囲気など、紹介されています。
「京阪にては演劇に熱中する余、寄席を下劣なるものとして身分ある者はこれに臨むを憚れども、都下にては却って入費も少く、暇もいらざれば、手軽なる興行物として、中流以上のものもこれに至るなり」と説明されており、こうした寄席文化が、東京では、関西に比べて、価値を認められていたことも説明されています。
明治時代を身近に感じる、素敵な本です。読む辞書のような本です。