オニテンの読書会

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台湾の人気ドラマ『通霊少女』 霊と交信する少女の青春の悩み

 最近、台湾で大ヒットしたドラマ、『通霊少女』(The Teenage Psychic)を紹介したいと思います。『通霊少女』はとにかく大人気です。最終回が放送される前に、台湾の総統も自身のfacebookで好意的なメッセージを掲載しました。

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 『通霊少女』は台湾の公共テレビ(公視)とアメリカのケーブルテレビ・HBOのシンガポール支社、HBOアジアなどが共同制作したドラマです。
毎回1時間程度の内容で、計6回があります。2017年4月2日から4月30日まで、毎週日曜日の夜に放送されました。台湾のみならず、ケーブルテレビのHBOアジアを介して、シンガポール、インドネシア、マレーシア、韓国などの23ヶ国でも放送されました。(…残念ながら、日本はどうやらHBOアジアのサービス範囲内ではなさそうで、見えるかどうかは不明です……)

 

 「通霊少女」の「通霊」は文字通り「霊と通じ合うことができる」の意味で、主人公は霊感体質を持つ女子高校生です。
 彼女は神さまや幽霊など超自然的な存在とコミュニケーションすることができますので、道場(宮廟)にあずけられました。朝は普通の高校生として学校に通いますが、夜になると、彼女は神や亡者の代弁者として、人々の悩み相談を受けるのです。

 

見どころ1、青春物語:女子高校生としての「通霊少女」
 「あの世」とのコミュニケーションが中心の話ですが、怖い要素は一切ありません。むしろ「ちょっと特殊な女子高校生の青春物語」としてみれば、怖い話が苦手の人でも全然大丈夫です。
 第1回から主人公、謝雅真はパンをかじって登校する途中で、転校生のイケメン先輩に一目惚れしました。…という王道的な幕開けです(笑)。そして、初恋はもちろん、部活、授業、人間関係、友情などの話もあり、とにかく普通にかわいい女子高校生の青春物語です。

演劇部の仲間と一緒に写真を撮る主人公(リンク:http://www.pts.org.tw/Psychic/

 

見どころ2、答えのない人間の悩み:霊媒師としての「通霊少女」
 ところが、霊媒師という身分もあり、主人公の道場(宮廟)には、色々な「お客さん」が来て、答えのない悩みの解決方法を求めます。
 ……行方不明の母を探す男性、結婚相手を探す女性、家庭事情を持つ男の子、亡くなった恋人と話したい女性、水子(嬰霊)、政治家の争い、不治の病…
などなど、普通の女子高校生とちょっと距離のある「大人の世界」からの悩みが数多く寄せられました。
 道場(宮廟)にいる時、主人公はいつも「仙姑」と呼ばれます(「姑」は女性の尊称です)。神さまの代弁者なので、「仙姑」は常に白い古風な装束を身につけ、首に数珠を掛っています。「仙姑」は一般人にない力を持って、きっと何とか解決できると信じられます。道場(宮廟)の先生は、常に主人公のことを「帯天命」といいます。その意味は、この生まれつきの霊感体質は天からのものなので、神さまなどの代弁者として働く運命を背負っています(…ただし、その天命を逆らうと、良くないことが起きます。)…ということです。
 自分の青春でいっぱいいっぱいの「仙姑」は、あまり世界を救おうとする意志がありませんでしたが、道場(宮廟)内の緊急事態に呼び出される時、いつも自分しかできないことにイライラしながら、「責任」と戦っています。


見どころ3、霊感だけは足りない、道場の経営も大変だ
 超自然的な世界とコミュニケーションできる主人公以外、道場(宮廟)のもう一人の重要な役どころは、道場(宮廟)の経営者、金先生です。

金先生(中)とその弟子さん二人(リンク:http://www.pts.org.tw/Psychic/


 金先生は名字通り「お金」が大好きです。常に話を盛ったり、「新商品」(聖水とか、お守りとか、「仙姑」がつけた数珠とか)を売ろうとしたりしまして、寺廟の新規開拓にも頑張ってやっています。霊とコミュニケーションする力がないが、道場(宮廟)の運営、民俗事情に詳しく、お話も非常に上手で、いつも主人公とお客さんとの間の架け橋をやっています。主人公は霊は普通に見えますけど、霊が見えるだけで、必ずしも問題解決と繋がりません。且つ、彼女は口下手で、(思春期の少女かもしれませんが、)常にお客さんのこと面倒くさいと思っています(笑)。「人々の気持ちをちゃんと考えてください」とか、「この廟を潰す気か」とか、主人公はいつも金先生に怒られました。
 金先生の道場(宮廟)通うお客さんたちは、まさに「苦しい時の神頼み」という諺にぴったりです。熱心な求道者の姿として描くよりも、むしろ問題解決の手段として宗教施設に通っている姿が描かれます。道場(宮廟)の運営は神や霊との接触のみならず、如何に「神を発する言葉」を利用し、お客さんと施設側がお互いに良い結果を生み出せるかが重要な点です。(因みに、金先生は悪質な宗教者ではなく、どうやら「ねずみ男」のような愛されキャラクターとして描かれました)。

 

 面白いドラマなので、機会があれば、ぜひご覧になってくださいね!

 

 

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