オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

心震えるドキュメンタリー「ネクスト・ゴール!」ーアマチュアスポーツとしてのサッカーとLGBTと、津波と、宗教と、亡き娘の思い出と。

 みなさんは、ドキュメンタリー映画は好きですか? 弱小チームが頑張って勝つみたいな話は好きですか? 『天使にラブソングを』は、1より2だと思っていませんか?
 わたしは、ドキュメンタリーが好きなんですが、今回ご紹介するドキュメンタリー作品は、考えうる全ての要素が詰まっているんじゃないかと思うほど、全部のせの作品になっています!!
 
 作品の名前は、
ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』
(原題 Next Goal Wins)です!
 
 サッカーを詳しくない方でも、大丈夫! わたし自身サッカー経験も、観戦歴もほとんどないですが、とても感動しました! 
 
《あらすじ》

2001年、FIFAワールドカップ予選にてオーストラリア代表に0対31で敗れ、史上最多の得点差で大敗、公式戦で200ゴール以上の失点と全敗、10年以上、FIFAランキングで最下位という、世界最弱のアメリカ領サモア。

しかし彼らは、何度でも立ち上がる。寄せ集めの選手たちとオランダ人トーマス・ロンゲン監督のもと、2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会予選で初勝利を目指す感動の実話! 「0対31 の歴史的大敗、公式戦30戦全敗。10 年以上負け続けても、彼らには挑戦し続ける理由がある。偶然にも31戦目に迎えた、ワールドカップ・ブラジル大会予選果たして奇跡を起こせるのか!?故郷のため、仲間のため、不屈の魂で勝利をめざす!

 どうでしょうか、もう熱いですよね。とてもシンプルで、かつ、熱血というものすごいわかりやすい話なのですが、国際試合に挑む彼らには、それぞれの事情があり、物語に厚みをもたせているのです。 

 
 それでは、おすすめポイントの紹介です!!
 
①弱小チームが教えてくれる、アマチュアスポーツの素晴らしさ!
 なんといっても、弱いチームが一丸となって頑張っている姿、そして、敗れ続けても望みを捨てないその眼差しには、心が打たれます。
 物語は、暗中模索となったチームに現れた熱血漢、オランダ人監督のトーマスが、チームやサモア文化とぶつかりながら、勝利を目指していくという、大きなストーリーが展開されていくのですが、その中で発された監督の言葉が、アマチュアスポーツとしてのサッカーの素晴らしさを伝えてくれています。
 それは、「プロは金で動く、しかし、彼らは、」というものです。サモアのチームは、みな普段は普通に働いている人々の有志のチームで、サッカーをする動機は、「好き」だから、というとても単純で、そして純粋なものです。そんな彼らが、国の誇りをかけて戦う姿は、大金の動くプロフェッショナルスポーツとは違った輝きがあると言えるでしょう。
 
 
②第三の性、津波、宗教など、様々な点からサモア文化を紹介!
 この物語は、サッカーが主題ですが、多くのサモア文化が紹介されていきます。サモア人は、宗教に篤く、第三の性を認めているなど、日本人に馴染みのない世界が描かれているのですが、これはトーマスがサモア文化に悪戦苦闘する姿から、追体験することができます。また、第三の性(ファファフィネ)の選手(体は男性、心は女性)の存在を丁寧に紹介するなど、LGBTの活躍をスポーツの世界で描いている作品でもあります。
 サモアは2009年に津波に襲われ、多くの犠牲者を出し、サッカー場も被害にあいました。被災地でのスポーツにスポットライトを当てる作品としても作られており、東日本大震災を経験したわたしたちにとって共通する部分を感じることができます。
 そして、熱血漢で、癇癪持ちであったトーマス監督にも、実は大きな心の傷がありました。それは、愛娘の死でした。
 彼らは、様々な問題や、喪失感を抱えながら、サッカーに打ち込んでいるのです。
 もっと、描かれている部分はたくさんありますが、それは、ぜひ、作品を鑑賞して考えていただきたいと思います!
 
 
 とても、面白い作品ですので、サッカー好きはもちろんのこと、サッカーに詳しくないかたも、楽しめる作品になっています!