オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

バナナと人間の一生_死と再生の象徴_

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台湾画家、林惺嶽が描いたバナナ(図像出典:學學台灣文化色彩

 

こんにちは、台湾出身のキャロルです。今回の記事では、バナナの一生(?)を紹介していきたいと思います。

 

やや変な始まりですが、

私は割と日本のクイズ番組が好きです。

頭の回転が悪くて、あまり答えられそうにないですが、クイズの出し方や採点の仕方はバリエーションが富んでいるので、面白いと思います。この前、「Qさま」で「動植物の成長観察の問題」が一時期たくさん出題していました。芽・卵・幼獣などの幼い頃から、果樹・成獣といった完全型までの成長過程を、順番で4、5枚の写真を見せ、早押しをする形式のクイズでした。ある日、バナナの木が出題されました。私は一発目での写真で分かりましたが、クイズの参加者はなかなか答えられなくて、一番最後の図までギリギリのところで答えがでた記憶があります。


そこで、「そういえば、日本にバナナの木があまりみたことがないなあ」、と感じました。

 

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これはバナナの木です!!

 

バナナの一生

バナナの木は台湾において、果樹園に行かなくても、里山や道端にあってもおかしくない植物です。

つい最近、台湾では、昔お産で亡くなった女性の墓にバナナや芭蕉、カンナなど、バナナ類(…正確に言うと、バショウ科の方になるでしょう)の植物を植える風習があったことを知りました。それはバナナが実ると、子どもが生まれたことを象徴する意味するようです。悲しい話ですが、私は何となく、その女性自身がバナナとして生まれ変わり、順調に実る(子ども生む)ことによって、象徴的に難産の苦しみから解放することではないか、と思いました。

それをきっかけに、バナナの栽培方法について、少し調べました。どうやらバナナは木ではなく、草の部類に入れられそうです。そして、本物の茎は地下にありまして、地上にある木のようなものは「偽茎」と呼ばれます。一本の偽茎の開花は一回のみです。花を咲き、バナナを実ったあと、枯れてしまい、株元から他の小さいな偽茎(子株、元々の偽茎は「親株」に対して)が芽生える。つまり、バナナは種ではなく、偽茎によって繁殖しているようです。バナナの農家では、子株の偽茎が生えると、栄養を取らわれないように、親株の方を倒してしまいます。従って、(その本体は地下にありますが)「バナナの木」は一生一代、一回の開花と結果で終わります。

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熟したバナナの木は「苞葉」を発し、ここから花とバナナを生み出す。(図像出典:バナナの成長

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緑色のバナナの果実が生えてきました。先端の茶色っぽいものはバナナの花です。(図像出典:バナナの成長

 

愛と名付ける母の犠牲
台湾では「芎蕉吐子為子死」(バナナは子どもを生み、その子のために死ぬ)という閩南語(方言)の諺があります。ちょっと古臭い感じの諺かもしれません、今の若者は恐らく知らない人が多いと思います(私も辞書を引いて、はじめて知りました!)。その諺は、親(特に母)の愛の偉大さを称える意味です。最初は、「そこまでか!?」と思いましたが、バナナの成長過程を調べた後、何となく想像がつきました。

 ここで再び、台湾でお産で亡くなった女性の墓にバナナを植える風習の話に戻りましょう。最初私は、この風習を、女性は象徴的に難産の苦しみから解放するのだと思いますが、まさかバナナの木はそんなに早く「死ぬ」とは予想外でした。これは、子どもを生むため、女性(母)に同じ犠牲を繰り返すことを求める意味でしょうか?全く同じ悲劇(産死)を繰り返しているのでしょうか……
想像だけでゾッとする恐ろしさを感じました…

 

死の起源を例えるバナナ
また、台湾よりも、バナナは恐らく東南アジアの国々でもっと親しまれる植物でしょう。
東南アジアの方は、死の起源に関係する神話、「バナナ型神話」があります。
ここで『新・神話学入門』の中から関連する物語を引用します。

スラウェシ島ミアン・バランタク族の神話
…(前略)…当時の人間はまだ不死身であった。年をとると脱皮して若返ったからである。しかし争いは日常茶飯事であり、姦通や悪事が増えたころ、洪水がやってきた。生き残ったのは、前もって警告を聞きいれ、プラウ舟造っていた一組の夫婦だけだった。二人を乗せた舟は天神の元にたどり着いた。天神は二人にエビを与えたが、彼らは食べようとしなかった。次にバナナを与えたところ、二人は食べた。こうして人間はバナナを選んだために死ぬ運命となった。もしエビを選んでいれば、脱皮して若返る能力が維持できていたのである。これは実際に、収穫が終了したバナナの株は枯死するという性質にもとづく。
(『新・神話学入門』、頁156-157)

 

新・神話学入門

新・神話学入門

 

世界レベル(?)の神話でも、バナナの生態から「死」との結びつきを見出した…
でも、物語の内容が、かなり大事なため、逆に怖くありませんでした(笑)

 

 

 開花して、実った後で枯れてしまったバナナのイメージは、まるでかけがえのない人間の一生のようで、生きていることは、常に死が伴っています。 

そして、伝統的な女性の役割の象徴でもあります。妊娠して、出産することによって「母」になり、母は次のいのちにバトンタッチしなければいけない運命をもっています。

 

今まであまりにも普通すぎて気を付けていませんが、最近は台湾に帰るたびにバナナの木をみて、何となく複雑な気持ちになりました…

 いいえ、チョコバナナをみることでさえやや悲しくなりました… 

 

 今日は主にバナナの生態と台湾の風習、東南アジアの神話を紹介しました。

 もしバナナの貿易、伝播などにも興味のある方は、ぜひ

バナナの世界史――歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ)

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参考資料

  1. 農業知識入門サイト(中国語):
    http://kmweb.coa.gov.tw/knowledge/knowledge_cp.aspx?ArticleId=1029154&ArticleType=A&CategoryId=&kpi=0&dateS=&dateE=#
  2. バナナの成長(中国語):

    http://www.epochtimes.com/b5/12/5/14/n3588258.htm

  3.  山田仁史、2017、『新神話学入門』、朝倉書店。

    新・神話学入門

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