オニテンの読書会

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悪役が勝ったらどうなるの:変わり種のヒーロー映画、『メガマインド』

小さい頃はあまりヒーロー系の映画が好きではありませんでした。
それはきっと、はっきり白黒を分けて物事を考えることが、あまりすきではないからかもしれません。

 

みなさんもご存知でしょうが、ヒーロー映画の大まかな公式はこのようになるでしょう。


世界征服をしようとする悪役が人々に攻撃し、ヒーローは自己犠牲をして世界を悪役から守ります。このような物語の中に、時々ヒロインがいます。悪役に捕まえた女性はあまりにも無力で、ヒーローからの救いを待ち続けます。ヒーローは危機一髪の状況で悪人を倒し、ヒロインを危険から救い出します。
そして、最終的に、ヒーローはヒロインの愛情を得て、人々に愛され、悪役が何処かに消えてしまい、平和の日々が、、、めでたしめでたし。


このようなヒーロー映画の公式とは一味違う作品があります。

今回紹介する映画、『メガマインド』(Megamind,アメリカでは2010年上映)はやや変わり種のヒーロー映画ともいえるでしょう。

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真ん中の青い宇宙人は、主人公のメガマインドです。

 

日本で公開上映したことがなかったため、あまり知られていないかもしれませんが、個人的に大好きで、素晴らしい映画だと思います。

『怪盗グルーの月泥棒』(Despicable Me,2010年上映)と同じ時期に上映したせいで、あまり注目されなかった。確かに『怪盗グルーの月泥棒』の方がキャラクター性があり、子ども受けがいいの感じがしましたね…

個人的に『メガマインド』の方が大好きなので、ちょっと悔しかったです(笑)

『メガマインド』も子ども向けではありますが、どちらかというと大人の方が好きになりそうかもしれません。

変わり種のヒーロー系アニメ映画といえば、多分『メガマインド』よりも、『Mr.インクレディブル』(The Incredibles,2004年上映)の方はもっと知られているでしょう(今年も続編出ましたよ!)。『Mr.インクレディブル』の方は「ヒーローのその後」を主題に、日常に埋まれた元ヒーローが過去も自分と向き合う話にも捉えます。それに対して、(ネタバレを最小限にしまして!)『メガマインド』の方は「悪役」の視点から出発した物語で、「もしも悪役が勝ったら」というモチーフから、漠然とした未来に向かい自分から選択していく物語です。

 

予告編レベルのネタバレ
主人公、メガマインドは普通の悪役のように(?)メトロシティーの征服に頑張っています。但し、彼がメトロシティーを襲う度に、正義の味方であるヒーロー・メトロマンにボコボコにされました。悪から守ったことを記念し、メトロシティーの市民たちはメトロマンの偉大さを称えるために彼の巨大な彫像を建てます。彫像の開幕式の際に、メガマインドがいつものように町を襲い、ヒロインのロクサーヌを誘拐し、メトロマンと戦っていました。ところが、いつもの正義が勝つエンディングと違って、市民たち全員見ている生放送中、メトロマンは逆転負けになり、白骨死体に化しました…今回悪役・メガマインドが勝ったのです!

征服を果たし、メトロシティーをようやく手に入れましたが、メガマインドは何故か急に生き甲斐を失いました。そもそもなんのための世界征服なのか…
物語はここから始まりました……

 

日本語の吹き替えの予告編:(編集はちょっと雑な感じで、あまりお勧めできませんけど…)

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個人的に良かったと思う予告編:(流れも画質もいいですが、残念ながら字幕がありません)

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なるべく抽象的に書きますが、これからはやや細かいのネタバレにふれるかもしれません
(…とはいえ、もう八年前の作品だから、ネタバレしても、大丈夫でしょうね。)

 

「悪役」からの視点
私は本当にこの作品が大好きで、DVDを買って何回も見直ししました。
破天荒な始まりから、物語が進行する最中に入れた小さいツッコミまで、物語のはじめはヒーロー映画の公式をすべて反するようにみえます。ところが、物語をつながりをみると、ヒーロー映画の公式に沿った最も典型的な展開となっている。「見せかけ」がすごいと思います。エンディングも見事に冒頭の唐突のシーンと結びつきました。
映画の冒頭はメガマインドの独り言から始まり、コメディな口調で自分が悪役になる原因を語りました。その後メガマインドの独り言が消え、第一人称が第三人称に変わりましたようにみえました。メトロマンの彫像の開幕式でやや狂気を感じさせた民衆、正義のヒーローという設定であるべきメトロマンはなぜかややキザに感じさせ、英雄にふさわしくない微妙な感じでした。最初はこれはヒーロー映画に対する皮肉として観ていますが、再び観る際に、これをメガマインドの視点に基づいた観察として捉えることもできると考えています。悪役の視点だから、ヒーローも民衆も純粋に「善」の位置に立っていないかもしれません。それを気付かせたきっかけは、映画の中盤、メトロマンが自分の口から自身の迷い及び疲れを語るシーンで、これをはじめにメトロマン側の視点もあると分かりました。とにかく『メガマインド』一人ひとりの認識のズレの表現は非常に細かくて、良かったです。


英雄・悪役・一般人
世界平和を守ろうとするヒーローは理想的な存在だという一方、世界征服しようとする悪役の方もかなり一般人とかけ離れる存在でしょう。
ヒーロー系映画は時々、正義と邪悪の二極として捉えがちですが、「一般人」の存在も無視してはいけないと思います。『メガマインド』の中に、物語を推進する動力も、まさにメトロマン、メガマインド、タイタンの三人のキャラクターが、英雄・悪役・一般人の三つのカテゴリー内の身分転換だと思います。


すでに数多くの感想が述べているように、この映画の中心は「人間は常に自分自身の人生を選択する」というモチーフになります。身分転換する際にも、自分の「選択」によって自分がどのような人間として生きていくかを頑張るしかないです。強い意識自分の人生を選択していくメガマインドがいる一方、意識していないのうちに自分の人生を選択していくメトロマン、ハウルなどもいます。ただし、意識するか否か、選択した人生を歩んでいきます。メトロマンはそれを気づき、変えようとしています。下した決定を徹する態度も、最後彫像の開幕式で呟いた応援メッセージも凛として、素晴らしいです。

あまり書いていませんが、ミニオン、タイタン、ヒロイン・ロクサーヌの設定も結構好きです。『メガマインド』の中に、キャラクター性を用いてすべてを収束するではなく、丁寧にその人の思考や立場を描き出すところが良かったです。

 

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主人公はオーソドックスの可愛さ(?)じゃないが、個人的に大好きです。

キャッチフレーズ:I make bad look so good!

 

変に真面目な感想になってしまいますが、予告編のように『メガマインド』は本当に爽快のコメディです!
迫力がありまして、テンポよく、かっこよかったです。

皆様もぜひぜひみてくださいね!!

 

図像出典

 

 アマゾンのプライムビデオで見えますよ!!

 

メガマインド (吹替版)

メガマインド (吹替版)