オニテンの読書会

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時間と暦についてー修道院と革命ー

みなさんは、スケジュール管理はお上手でしょうか?今回の記事は、時間と暦についてキリスト教の修道院と革命を中心に書いてみたいと思います

 

週について  週=社会的産物 

  週七日というサイクルは、まったく任意的な人為的な取決めなのです。日や年は、地球の自転や周天で決定していますが、週のサイクルは自然界の営みとまったく無関係につくられた社会的な産物です。例として、ヨーロッパにおいて「週」が普及する過程は、キリスト教によるユダヤ教への反発がありました。

ex. ヨーロッパにおける「週」の普及ーユダヤ教「サバト」安息日は、土曜日

キリスト教の安息日を日曜日とする習慣も、もともとはユダヤ教徒が土曜日に休息するのに対抗して生まれたものであった。日曜日を主日として確立したことは、明らかに、初期キリスト教徒が行なった最も重要な社会的、政治的行動である。

                              

 

スケジュール  ひとりの行為 = 共同体の行為 = 「社会的事実」 

 週や月、そして日時が人々に普及していくと、時間のやりくりが、問題となっていきます。つまりは、スケジュール管理が必要となってくるのです。

  スケジュールの原型は、中世ベネディクト会修道院で用いられた「ホラリューム」だと考えられています。どうして、修道院で時間の管理が重要となってのでしょうか?その過程についてみてみますと。

修道士の時間の管理、日課の作成   ex. 朝の礼拝

→生理的時間も、社会的時間に基づく  ex. 起床時間

→時間厳守が、実利的次元から道徳的次元へと昇華され、神聖化

→ホラリュームに則って生活することが、神に対する禁欲的服従

共通のカレンダー → 集団の結束強化 

 共通のスケジュールやカレンダーを持つことは、集団としての明確な境界線が出来あがり、集団内に強い無機的結束が生まれることになります。

 

 以上のように、時間の管理も、週の発生も宗教的な意味合いがあることがわかりますが、暦も同様に宗教への隷従、もしくは、宗教への反抗によって改暦されるのです。

 

改暦と革命

ここでは、世界的な「改暦事件」をみてみたいと思います!

グレゴリオ暦(1582年)「時」に対する教会の支配力の再確認 

ボローニャ出身のイタリア人、グレゴリウス13世(15021585)が、1572年にローマ教皇に選出された。1576年に、ユリウス暦修正に着手するため、委員会を組織した。この暦法改革は、宗教改革によって弱体化した教会組織再建の一環をなしていた教皇の目的は、まず教会の司る時間と天体の司る時間の調和をはかることであった。         

 

フランス共和暦(1793年〜1805年) 宗教と暦の分離 

1793年から1805年までフランスおよびその支配下の地域において使用された太陽暦。これまでのキリスト降誕紀元の代わりに、1789922日を第1年の第1日とする紀年法が用いられた。各月は30日からなり、年末に5日の余日を設ける。したがって、平年は365日となる。また、各月を三分割したデカド(décade:旬)は、10日ごとに休日が配され、1日を10時間、1時間を100分、1時間を100秒とする10進法による時刻法が用いられている。年間のすべての日に個々の名称が名付けられたのは教会における宗教行事や守護聖人の名を冠していたのに対抗するためであった。                               

 

連邦暦(ソヴィエト連邦) キリスト教要素の除去、生産力の増強 

旧ソヴィエト連邦では、1918年にユリウス暦を廃止してグレゴリオ暦を採用したが、その後1923年に「無窮暦」が採用された。これは各月を30日とし、それに余日として5日の革命記念祝日を加えたものである。週五日制が採用されたが、特定の休日はなく、労働者を5班に分け、各班5日ごとに1日の休日が与えられた。この週制では、家庭生活が破壊されるとの反発が強く、1931年には、6日の週制に改められ、毎月6,12,18,24,30日が休日とされた。                              

 

このように、革命は改暦をともなうものです。それは、旧体制の権力構造と密接な関係を持つ暦は、革命では、「敵の産物」のように目の敵にされてしまうのです。

次節では、フランス革命における改暦についてみてみましょう!

 

フランス共和暦(1793年〜1805年)の特徴

現世主義 キリスト教の否定

 

 古代から近代まで、暦をコントロールしていたのは、ムハンマドやグレゴリウス13世などの宗教的権威でした。フランス革命時の、改革者たちは、グレゴリオ暦を修正すること自体が、キリスト教及び宗教の否定に繋がることを意識していました。

 

合理主義  数量的時間の生成 

 改暦は、「無知による幻想を取り払い、かわりに理性にもとづく現実を与える」ことが必要であるとされました。そのため、正確さ、完結さ、明確さなどを促進しすることによって、革命的精神の真髄を具現化するものとされたのです。十進法をとりいれた、改暦は、時間の概念を、伝統的、宗教的、そして非合理的なものと結びついた質的なものから、理性の時代にふさわしく、数量的なものへと変えようとした試みでした。

1

ヴァンデミエール

葡萄月

2

ブリュミメール

霧月

3

フリメール

霜月

4

ニヴォーズ

雪月

5

ブリュヴィオーズ

雨月

6

ヴァントーズ

風月

7

ジェルミナル

芽生月

8

フロレアル

花月

9

ブレリアル

牧草月

10

メッシドール

収穫月

11

テルミドール

熱月

12

フリュクティドール

実月

 

自然主義  自然との調和 

 暦は意識的に自然のイメージと結び付けられました。つまりは、「聖職者の権威」から生まれた暦ではなく、「自然の真理」から生まれた暦にする必要があったのです。フランス共和暦は、人間は自然との調和のなかで暮らすべきだというフランス啓蒙主義の姿勢を表しています。      

 

 

 

 

 

国家主義   国家と暦  

 この暦は、フランス国家の暦として制定され、国家主義を標榜するものでした。毎年5日間のうるう日をまとめ、フランス革命sans-culottesをもじり、これをsansculottides「フランス人の精神と喜び」を表現するものとしたのです。  

 

 今回の記事では、暦と時間について、キリスト教の修道院と革命を中心にまとめてみました。現在の世界でも、国際的に共通の暦や24時間制を用いることから、利便性が図られています。しかし、日本においては、平成などの元号や、華人系では旧暦、イスラーム社会ではヒジュラ暦といったその民族・宗教・国家による独特な暦が存在します。暦を考えると、その社会がわかるようで面白いですね。

 

【参考文献】

おもな参考文献は、以下の通りです。 

かくれたリズム―時間の社会学

かくれたリズム―時間の社会学

 

 

暦の大事典

暦の大事典

 

 

カレンダーから世界を見る (地球のカタチ)

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